「何を書けばいいかわからない」と言う子に、大人ができること
作文を書こうとすると、
「何を書けばいいかわからない」
と言う子がいます。
そんなとき、大人はつい、
「今日あったことを書けば?」「楽しかったことは?」「まず一文書いてみよう」
と、書く内容を提案したくなるかもしれません。
もちろん、それで書き始められる子もいます。
でも、本当に何も書くことがないのでしょうか。
私は、そうではないことが多いと思っています。
「ない」のではなく、まだ見つかっていない
子どもの中には、毎日いろいろな出来事や気持ちがあります。
おもしろかったこと。ちょっと嫌だったこと。誰かに言われた一言。帰り道で見つけたもの。最近ずっと気になっていること。
でも、それらをすぐに
「これは作文に書けることだ」
と整理できるとは限りません。
だから、
「何を書けばいいかわからない」
という言葉は、
「書くことがない」ではなく、 「自分の中にあるものを、まだ見つけられていない」
ということなのかもしれません。
すぐに答えを教えなくてもいい
そんなとき、大人が「これを書けば?」と答えを出してしまうと、作文は進むかもしれません。
でも、少し待ってみるのもひとつの方法です。
たとえば、
「今日、一番覚えていることは?」
「最近、誰かに話したくなったことある?」
「なんか変だな、と思ったことは?」
「もう一回やりたいことは?」
そんなふうに聞いてみます。
大切なのは、作文の正解を探すための質問ではなく、その子の中にあるものを一緒に探す質問をすることです。
最初は、
「別にない」
と言うかもしれません。
それでも少し話しているうちに、
「そういえば……」
と始まることがあります。
その「そういえば」の先に、その子のことばが隠れていることがあります。
「おもしろかった」の先を聞いてみる
たとえば子どもが、
「遠足がおもしろかった」
と言ったとします。
そこで、
「じゃあ『遠足がおもしろかったです』って書こう」
とすぐ作文にしてしまわなくても大丈夫です。
「何が一番おもしろかった?」
「そのとき誰といたの?」
「何か言った?」
「そのとき、どんな感じだった?」
と少し話してみます。
すると、
「友達が転びそうになって、みんなで笑った」
「お弁当を開けたら、好きなおかずが入ってた」
「山の上から学校が小さく見えた」
など、その子にしか書けない具体的なことが出てくるかもしれません。
「おもしろかった」の中には、実はたくさんのことばがあります。
大人ができるのは、それを代わりに書くことではなく、見つける手伝いをすることです。
子どものことばを、すぐに「きれいな文章」にしない
子どもが話したことばが、少し変だったり、まとまっていなかったりすることもあります。
でも私は、そのことばをすぐに大人らしい文章へ直しすぎないことも大切だと思っています。
たとえば、
「めっちゃでっかくて、びっくりした」
ということばが出てきたなら、まずはそれもその子の表現です。
大人が、
「とても大きかったので驚きました、の方がいいね」
とすぐ変えてしまうと、文章は整っても、その子らしさが少し消えてしまうことがあります。
作文は、きれいな文章を作るだけのものではありません。
自分が見たこと、感じたこと、考えたことを、自分のことばで誰かに伝えてみるもの。
まずは、その子から出てきたことばを大事にしたいと思っています。
「あ、それ書きたい!」が見つかれば、作文は変わる
作文が苦手な子にとって、
「作文を書きなさい」
は大きな課題に感じることがあります。
でも、
「あ、それ書きたい」
がひとつ見つかると、少し変わります。
「書かなければならないもの」だった作文が、
「誰かに伝えたいもの」
になっていくからです。
上手に書くことより先に、まずは書きたいことを見つける。
そのために、話したり、質問したり、一緒に思い出したりする。
書く前の時間も、作文の大切な一部です。
大人は「先生」ではなく、最初の読者になってみる
子どもが作文を書いていると、
「ここ、おかしいよ」「漢字が違うよ」「もっと詳しく書いたら?」
と教えたくなることもあります。
でも、ときには大人が「直す人」ではなく、その子の話をおもしろがって聞く人になってみるのもいいと思います。
「それ、知らなかった」
「そのあとどうなったの?」
「そこ、おもしろいね」
そんな反応があると、子どもはもう少し話したくなることがあります。
そして、その「もう少し話したい」が、書くことにつながっていきます。
作文は、紙の前だけで始まるものではありません
私は、子どもの表現を
考える。話す。書く。伝える。
という流れで捉えています。
作文だからといって、最初から紙と鉛筆を用意しなくてもいい。
話してもいい。絵を描いてもいい。思いついたことをメモしてもいい。誰かの話を聞いて、自分も言いたくなってもいい。
いろいろなアウトプットを行き来しながら、自分のことばを見つけていく。
それが、書く力にもつながっていくと考えています。
「何を書けばいいかわからない」と言われたら
すぐにテーマを決めてあげる前に、少しだけ話を聞いてみてください。
「最近、何か気になったことある?」
そんな小さな質問からで十分です。
立派な作文の材料を探さなくても大丈夫。
子どもの毎日の中には、その子にしか書けないことがたくさんあります。
大人が答えを渡すのではなく、
一緒に、そのことばを探してみる。
それだけで、作文の始まり方が少し変わるかもしれません。
ことばのアウトプット教室
「ことばのアウトプット教室」では、作文だけではなく、
考える・話す・書く・伝える
を行き来しながら、子どもたちが自分のことばで表現することを大切にしています。
作文が苦手な子も、まずは話したり、考えたりするところから。
オンラインの「ことばのアウトプット・プレイルーム」では、毎回のミッションをきっかけに、それぞれのペースでアウトプットを楽しみます。
小学生以上|オンライン|ホームスクーリング|海外在住
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